ジャズ・ミュージシャンになると誰もが直面する問題が、自分のスタイルを作ること、オリジナリティを持つことではないだろうか。
最初は誰でもコピーから入る。うまくやれるようになり、ひととおりの技術も身に付けた。さあ、プロだといさんだ矢先、「お前は何を演奏している?」「お前は誰だ?それを演奏しろ」と忠言されてガックリ…。
新人ミュージシャンに取材すると、そのことを気にする人が多くて驚く。誰それに似ている、誰それのコピーをやった、そういう話になると、ピリピリしてくる。ハレモノを触るような会話になる相手もいる。もの凄く気にしているのですね。
しかし、最初から個性やオリジナリティ、自分のスタイルを持っている人がどれくらいいるだろうか。それを気に悩んでモチベーションが低下するのは問題である。
そんなことを思っていたら、興味深いエピソードを見つけた。アルバム『カーティス・フラーVol.3』のライナーだ。そこにカーティスがクリフォード・ブラウンからアドバイスを受けた時の話が出てくる。
「1955年にクリフォード・ブラウンが、自分のスタイルを確立することにそんなに心配しなくてもいいと言ってくれたのをおぼえている。彼は、それは時間とともに自然と身につくものであり、無理に求めることはできないと言った。魂(ソウル)を無理強いできないのと同じだ。魂は育ちや生活環境、そして経験する苦難から得られるものだ。ジャズマンの場合、魂を持っているなら、その日起こったことは夜の演奏に表れる。たずねなくても、どんな一日を過ごしたかが分かる」
これは、心強い。あのクリフォード・ブラウンが言っているのだから勇気づけられるし、不安が解消するのではないだろうか。クリフォードの言っていることはわかる気がする。新人時代に聴いてさほど気にしていなかったミュージシャンが、40代くらいになった時、その人が演奏から発する何ともいえないようなフィーリングに感銘したことがよくあるからだ。個性やオリジナリティは時間とともに身に付くものなのだろう。
自分のスタイルにこだわらずにどんどんやってほしいものです。

『カーティス・フラーVol.3』





