番号順にすべて再発

 レコード会社の大きな役割のひとつに過去の作品の再発がある。売れる作品は何年経っても何十年経っても売れ続ける。ある会社で年間を通して最も売れたジャズ作品は再発盤だったという話はよく耳にしたものだ。ジャズは時代を超越して聴き続けられる音楽であるのだ。
 そんな再発盤の中でも過去最も衝撃的だったのは、ブルーノートの再発をオリジナルのカタログ番号順に出したリリース方法だった。東芝EMIブルーノートの1500番台を番号順に復刻したのは1983年のことだ。1501番の『Miles Davis Volume 1』から1600番の『The 3 Sounds』までの全100枚。これを番号順にすべて発売した。1501番のオリジナル12インチLP盤が米国で世に出たのは1955年。それから30年近く経ち、時代も国の異なる状況で、100枚のカタログが番号順に発売されて大反響を呼んだのである。
 
 この成功によって、ブルーノートは史上最高のジャズ・レーベルとしての評価が確立されたように思える。録音から数十年後に再び当時と同じように、もしかすると当時以上に売れるなんて、一体、だれが考えるであろうか。ブルーノートの作品は全体的にクォリティが高い。ある水準を超えた作品が出来上がることが予測できないとレコーディングしなかったのだろう。それにしてもオリジナルのカタログ番号の順にお店に作品が並ぶとは、国会図書館の書庫や博物館でもあるまいし、もの凄い光景である。
 東芝EMIは1500番台の成功に続いて、CD時代に入ってから4000番台のシリーズもオリジナルのカタログ番号順にリリースすることになる。このシリーズはどこまで実施されたか把握していないが、300枚を超えるシリーズになったのではないだろうか。世界中のジャズ・ファンが大きく目を見開いた姿が想像できる。

 

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Miles Davis Volume 1』(1501)