ジャンル名と死語

 ジャズにはジャンル名が数多くある。ジャンル名はその音楽のスタイルや特徴を知る上で便利なものだが、音楽の宣伝に使われることがあるので困ってしまう。近年ではクラブ・ジャズがそうだ。何年か前、レコード会社の人から「クラブ・ジャズというジャンル名は古くなったので使わないでください」と言われた時には驚いてしまった。ジャンル名は音楽のスタイルを表す言葉ではないのか。流行り廃りで言い替え自由なのか。時代の要求から生まれてきたそれまでにはなかった音楽表現であるにもかかわらず、下火になったから死語扱いするのはどうかと思う。また復活することだってあるし、新たな発展を遂げることだってよくある。
 こうした問題は以前からあった。フュージョンがそうだ。フュージョンじたいはジャズとロックなどの融合だから音楽スタイルを表す言葉として何ら問題はない。しかし、フュージョンはその後、コンテンポラリー・ジャズ、スムース・ジャズ、ポップ・ジャズなどジャンル名は混迷を極めていく。細分化されたのか、言葉の鮮度を優先したのか。フュージョンでいいじゃないか。
 流行り廃りや宣伝でジャンル名が付けられることがあるから要注意である。

 

 

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フュージョンの道を突き進んだマイルス・デイヴィス